文責:森内哲也
三宅町のキャラクター「みやっぴぃ」のデザイン。および 絵本「太子道」の絵を描いてくれたグラフィックデザイナーの橘正泰(たちばな まさやす)氏が、2013年8月21日、長年患った腎不全から体調を崩し亡くなりました。
享年42歳。
三宅町のゆるキャラを作りたいと、三宅町役場企画課の方より話を聞いて、知り合いの中で一番良いモノを生み出してくれるであろう橘に相談しました。しかし町は予算はなさそう。
橘は「面白そう」との返事でしたが、予算がないのに時間を割いてくれるのかはわかりません。
そこを説き伏せて力を貸してくれる事になりました。
(橘が腎不全を患っており透析をしている事は昔から知っていました。そして透析患者は平均寿命が短い事も。有能である彼が亡くなっても作品は生きるという思いがあった事も事実です。しかし、まさかこんなに早くその日が来るとは、その時は夢にも思っていませんでした)
町役場側は以前よりキャラクターを作りたいと思っていたらしくいくらかの案を見せてもらいました。
今ある案を発展させても良いかもしれないと思っていたのですが、コンセプトが弱いとも感じていました。そこで橘と相談。
以前からあったコンセプト・三宅を詠んだ万葉花である「あざさ」は入れるとして、もう一つ、奈良県一小さい町という事で「赤ちゃん」のイメージを追加することに決定。
そこからキャラクターのデザインが生み出されてゆきます。
ニュース記事にもあるように「ギザギザが特徴の黄色いあざさの花を頭にのせ」「赤ちゃんをイメージし、緑色のあざさの葉っぱの前掛けを着ける」
コンセプトもデザインも完璧である!
最後は、役場の方からも出されていたいくつかの候補をおりまぜた複数の中から多数決で選ばれました。
橘はどちらかというとスタイリッシュなデザインが得意だと思っていたのですが、こういうカワイイものもできるのだと感心したことを覚えています。
2009年の夏から秋にかけての事でした。当時はまだ名前がなく「あざさチャン」と呼んでいたように思います。
この勢いで、プロモーションビデオを作ろうとなり、まずは私が音楽を作成。
それに合わせて、ダンスは三宅町出身の中学生と小学生が踊ってくれました。
自分たちで振り付けも考えるというスゴイものでした。
ビデオ撮影は橘も手伝ってくれました。
彼は、結婚式のビデオ撮影や、式や二次会で流す思い出ビデオの編集も仕事としていました。
このあたりも友達の仲という事で付き合ってくれました。
こういった縁があって、三宅町で町内の民話・昔話・いい伝えを絵本にするという話があがった時も、彼が手伝ってくれました。
2011年の事だったと思います。
その当時もあまり調子が良くなかったように記憶しています。絵本の第一弾「太子道(たいしみち)」が橘が絵を手掛け、絵本のレイアウトなども手がけてくれました。
2012年の年末から体調を崩し入院していたように思います。
「自分が弱っている姿を見せたくない」「元気な姿で会いたい」との思いからでしょう、「お見舞いに行く」というとやんわりと断っていました。
しかし幾度かメールで話もしました。
彼の生み出したキャラクターである「みやっぴぃ」には、やはり思い入れも強いようで、「頭の花びらのギザギザ」「体の丸み」「葉っぱの前掛けの曲線」など、あまり他人がいじくりまわすのはヨシとは思っていなかったようですが、やはりみんなに可愛がってもらいたいとも思っているようでした。
「6/16 15:02 橘 正泰 :
体調は良くはないんだ。でもそっちの先生が良くて、呼んでくれてるんでいってくるわ。著作権のほうも悪いけどたのんます。」
というメールのやり取りで終わっています。
悪用・商用はダメですが、極端なデザインの改変、以外は、自由に使って欲しいと思います。
しかし三宅町のキャラクターにもなっているので、三宅町を汚すような使い方は、当然、厳禁です。
橘の生んだキャラクターがみなさんに末永く愛されることを心より願っています。